コラム『半沢直樹』感謝の恩返し企画・朗読劇で、南野陽子、尾上松也らが役の後日談を披露!伊集院光も絶賛の舞台の内容は?

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、今夏ドラマで圧倒的な支持を得る日曜劇場『半沢直樹』(TBS系 毎週日曜午後9:00)が、ドラマを応援する人たちへの“感謝の恩返し”として、東京・新国立劇場 中劇場で9月12日に上演された初の朗読劇「感謝の恩返しスペシャル企画 朗読劇『半沢直樹』」をレポートします。

4人のキャストが繰り広げるアフター『半沢直樹』

今回の朗読劇は、現在放送中のドラマに先駆けて、今年2月から3月にTBSラジオで放送された『TBSラジオ オリジナルドラマ 「半沢直樹」 敗れし者の物語 by AudioMovie』で描かれた「聴くドラマ」の演出をヒントに生まれたスペシャル企画。ラジオとのコラボレーションで実現した“『半沢直樹』の世界観を声で届けるエンターテインメント”に、ドラマ出演者が生朗読するという“舞台演出”が重なった、オリジナルストーリーの特別企画となっています。

9月12日(土)と13日(日)、両日とも各2公演を行なうなか、初日の14時公演は南野陽子さんと土田英生さんによる「黒い二人の日記帳」(脚本:土田さん)からスタート。舞台には、スクリーンと、ふたつの椅子が置かれています。スクリーンには、主演の堺雅人さん演じる半沢直樹たちのドラマのシーンが映し出され、山根基世さんのあの濃厚なナレーションが朗読劇の世界へと観客を導いてくれます。

南野陽子さん(左)と土田英生さん(右)。

そこに、黒でまとめた衣装をまとう南野さんと土田さんが登場。ITベンチャー「スパイラル」に買収を仕掛けた、大手IT「電脳雑伎集団」の社長・平山一正役の土田さんと、副社長で社長夫人・美幸役の南野さん。ドラマでは買収が失敗に終わり、やがて別離となったふたりの“その後”が舞台では描かれています。

高慢で見栄っ張りなふたりの心情がどのように変化していくのか、正直な思いを書き綴っている黒いふたりの日記帳が鍵となって、物語が展開。ドラマ同様の掛け合いを見せて、テンポよく物語は進んでいきます。

かつては社長夫婦で贅沢をしていたものの、それぞれがすっかり地味な生活を送るように。偶然にも、お互いにお気に入りの“サンマ定食”が、ふたりを運命の再会へと呼び寄せるんです。

南野さんといえば、1980年台後半から90年代にアイドルとしても大活躍されていましたよね。アラフォー世代の筆者としては、つい心のなかでアイドル時代の愛称「ナンノ」と呼んでしまいそうになるくらい、いまもかわいくすてきな南野さんが、ドラマでは見せなかったメガネをかけていた土田さんとの朗読劇で見せた“愛の物語”を展開しました。

続いては、尾上松也さんと山崎銀之丞さんによる「繰り返される時…」(脚本:粟島瑞丸さん)。「スパイラル」社長の瀬名洋介役の尾上さんと、太洋証券の営業部長・広重多加夫役の山崎さん。広重が加担した「電脳雑伎集団」による「スパイラル」買収が失敗に終わり、太陽証券を追われ、職探しに行ったのは、世にも不思議な案内所。

山崎銀之丞さん(左)と 尾上松也さん(右) 。

そこにいたのは、尾上さんが瀬名役と一人二役を演じる、案内所の職員。“時を操る”その職員は、広重が戻りたい日付に時間を巻き戻し、再び買収計画をやり直そうとします。しかし、やはりどうしても半沢直樹によって計画は阻止され、奮闘する姿がなんとも面白いんです。

懲りない広重をユーモラスに演じる山崎さん、度々大きな声で怒りをぶつける瀬名を演じる尾上さんともに、ドラマの“その後の世界”を見事に披露してくれました。

伊集院光は“半沢直樹クイズ”に挑戦中 

『半沢直樹』のドラマの世界に、新たな息吹が吹き込まれて誕生した、初の朗読劇「感謝の恩返しスペシャル企画 朗読劇『半沢直樹』」。4人のキャストが繰り広げた“その後”の物語をじっくりと堪能した後は、トークショーが行なわれました。

トークショーもソーシャル・ディスタンスで。

TBSの江藤愛アナウンサーが司会進行を務めるなか、南野さん、土田さん、尾上さん、山崎さん、そしてTBSラジオ『伊集院光とらじおと』から、伊集院光さんがゲスト出演。朗読劇を終えてリラックスした表情のキャストのみなさんと、ニコニコ顔の伊集院さんにほっこりします。

伊集院さんは、ドラマが放送されても半月ほど観ることを禁じられ、その間に第何話がどうなっているか、というクイズに答える同ラジオでの「俺たちの半沢直樹」というコーナーを実施中。たとえば、「とある80年代90年代に大活躍したアイドルが出ています、誰でしょう?」というクイズが出題され、伊集院さんは「シブがき隊のフックン!」と断言して(正解は南野さんですね!)、いまのところは答えを全部外していることを報告。

朗読劇のときにも、時折笑いを誘う場面はあったのですが、伊集院さんの軽快なトークでさらに場内があたたまり、盛り上がります。

そして観客からキャストへの「質問」も集められました。「『半沢直樹』のなかで、男女問わずやってみたい役柄は?」という質問には、どのキャストも、やはり自分の役が良いという結論に。

土田さんのおしゃべりが止まらなくなったときには、相手役を務めた南野さんがすかさず「すごくよくしゃべる人なんですよ」とフォロー。「電脳の夫婦、もっと控えめに」と最初の本読みで指摘された裏話も告白していました。

尾上さんは、「敵役の先輩方が思う存分やっている姿」に思うところがあるそうで、ご自身が演じる瀬名の役作りは先輩とは違うキャラクターゆえに、もしまた撮影するなら「もう1回頭からやって、なんとかドアップの顔芸をしようかな」と吐露。ドラマに登場する香川照之さん、片岡愛之助さん、市川猿之助さんたちを意識することが多いようです。そんな先輩役者のみなさんと一緒に試写を観た際は、「本人たちも爆笑してましたね」と話し、会場でも爆笑となりました。

テレビの画面から飛び出し、実際に目の前で朗読する姿を観ることも、撮影エピソードなどを聴くこともレアな体験となったこの企画。「これだけ街でみんなが話題にするコンテンツはすごい!」と伊集院さんが『半沢直樹』を絶賛していたのですが、キャストやスタッフのみなさん、会場に集まった方はもちろん視聴者の方も含め、すべての方が『半沢直樹』を愛しているんだなあと実感。これが“国民的ドラマの持つ力”だといえるのではないでしょうか。

伊集院さんのラジオも要チェックです!

朗読劇を観ていたら、またドラマも見返したくなったり、次の放送もより楽しみになったり、伊集院さんのおしゃべりももっと聴きたくなったので、テレビもラジオも要チェックだと再確認。なお、今回の『感謝の恩返しスペシャル企画 朗読劇「半沢直樹」』は、動画配信サービス「Paravi」( https://www.paravi.jp/title/60905 )で期間限定独占配信が決定。9月16日から27日の12日間で配信されるそうです。

今回、半沢直樹に倍返しされた者、救われた者たちの人生が描かれた朗読劇は、コロナ禍においてソーシャル・ディスタンスを保った座席にいた老若男女、たくさんの人たちを笑顔にしたひとときでした。

【12日14:00公演】
「黒い二人の日記帳」
出演:南野陽子(平山美幸役)×土田英生(平山一正役)
脚本:土田英生

「繰り返される時・・・」
出演:尾上松也(瀬名洋介役)×山崎銀之丞(広重多加夫役)
脚本:粟島瑞丸

トークショー:南野陽子、土田英生、尾上松也、山崎銀之丞
ゲスト:伊集院光

【12日18:00公演】
「繰り返される時・・・」
出演:尾上松也(瀬名洋介役)×山崎銀之丞(広重多加夫役)
脚本:粟島瑞丸

「おかしな二人の殺人事件」
出演:角田晃広(三木重行役)×佃 典彦(曾根崎雄也役)
脚本:吉井三奈子
脚本協力:今井太郎
トークショー:角田晃広、佃 典彦、尾上松也、山崎銀之丞
ゲスト:伊集院光

【13日12:00公演】
「黒い二人の日記帳」
出演:南野陽子(平山美幸役)×土田英生(平山一正役)
脚本:土田英生

「繰り返される時・・・」
出演:尾上松也(瀬名洋介役)×山崎銀之丞(広重多加夫役)
脚本:粟島瑞丸
トークショー:南野陽子、土田英生、尾上松也、山崎銀之丞
ゲスト:藤森慎吾

【13日16:00公演】
「黒い二人の日記帳」
出演:南野陽子(平山美幸役)×土田英生(平山一正役)
脚本:土田英生

「初恋の味」
出演:賀来賢人(森山雅弘役)×尾上松也(瀬名洋介役)
ゲスト:沢城みゆき 声の出演:大塚明夫
脚本:谷口純一郎
トークショー:南野陽子、土田英生、尾上松也、賀来賢人

[演出] 粟島瑞丸
[企画・製作・主催] TBS、TBSラジオ
『半沢直樹』https://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/
(c)TBS