コラム『庵野秀明+松本人志 対談』で語られる天才の頭の中とは?
こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。
今回は、『庵野秀明+松本人志 対談』(Amazon Prime Video)をご紹介します。
「エヴァンゲリオン」シリーズがみんなにもたらしたもの
2021年8月20日からAmazon Prime Videoで見放題独占配信中の『庵野秀明+松本人志 対談』。SFアニメ超大作の金字塔「エヴァンゲリオン」シリーズを世に送り出し、日本のアニメ界に革命を起こし続けてきた庵野さんと、お笑い・映画監督・作家・プロデューサーとして日本のエンターテイメント界をけん引し続けている松本さんという、巨匠ふたりの初対談が実現。
どちらかひとりだけでも「その頭の中を見てみたい!」と思える素晴らしいトップクリエーターだけに、そんな天才が揃ったこの対談、「観たい!!」「すでに観た!!!」という方もたくさんいるはずです。
累計興行収入102.3億円を記録し、社会現象を巻き起こしたSFアニメ超大作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の企画・原作・脚本、そして総監督を務めた庵野さんは今年、61歳。
ながきにわたり、もちろんエヴァ以外にも数々のアニメ作品に携わっていますし、筆者も庵野さんのこれまでの作品を多数観てきましたが、やっぱり一番心に刺さった作品は、エヴァンゲリオン。
テレビアニメ版の『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系 1995年10月~1996年3月放送)が初めて放送された1995年は、1月に阪神・淡路大震災、3月に東京で地下鉄サリン事件があるなど、日本中が激震した年。
そんな激動の年に震災を体験後、大阪から東京へと就職のため上京してきた筆者は、偶然目にしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に心を奪われてから虜になりました。
そのときは新入社員で覚えることが多く、初めての一人暮らしや関西と関東の違いなどに憂いていた時期でもあり、アニメの主人公=明るいというイメージを覆すエヴァの主人公・碇シンジが内包する複雑さや暗さ、「逃げちゃダメだ」と繰り返す辛さなどに、シンパシーを感じたのです。あれから26年。エヴァの最終章となる劇場版が公開されシンジは大人になり、筆者は家庭を持つ母となりました。
最後の劇場版は『EVANGELION:3.0+1.0』バージョンまで観ようと、新宿バルト9へ。映画館のロビーに展示されていた初号機の大型フィギュアや、庵野さんはじめスタッフの方や声優陣のサイン色紙などを鑑賞し、メッセージボードに感謝の気持ちも残してきました…と、こんな思いがあるのは筆者だけではなく、より深くより広く、みなさんそれぞれにとっての“エヴァとの思い出”があるに違いありません。アニメ放送開始から26年、視聴する側も成長していき、エヴァとともに時を刻んできたのですから。
そんな最終章の劇場版も、そして松本さんの『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』『FREEZE』というこの3作品を独占配信してきたPrime Videoだからこそ実現できた、夢のビッグプロジェクトが、この対談なんですよね。おふたりの作品作りに対する考え方や姿勢を知ることができるこの対談、次はもう少し会話の様子をご紹介しましょう。
松本人志の頭の中にあるものとは?
Amazon Prime Videoで見放題独占配信中の『庵野秀明+松本人志 対談』。日本のアニメ界に革命を起こし続けてきた庵野さんと、日本のエンターテイメント界をけん引し続けている松本さんという、巨匠ふたりの初対談が実現しました。
予告編では、ふたりが初めて出会った瞬間が映し出され、緊張しつつも照れている様子も垣間見えます。松本さんが「どう…どうなるんでしょうね?」とたずねると、すかさず「ええ…すぐに滞ると思います」と切り返す庵野さん。真面目なおふたりなんですが、なぜかちょっとコミカルにみえてしまう場面も。
人見知りでなかなか松本さんの目を見て話せない庵野さんですが、ふたりが幼少期に影響を受けたというウルトラマンや仮面ライダーなどのテレビ番組の話では、次から次へと思いがあふれる庵野さん。
現在、58歳で少し年下となる松本さんは、そんな庵野さんの様子を興味深く注視し、時に感心しつつ、時に大笑いしている姿が印象的でした。
松本さんといえば、言わずと知れた浜田雅功さんとのお笑いコンビ「ダウンタウン」ですが、筆者の学生時代に大阪では『4時ですよ~だ』(MBS 1987年4月~1989年9月放送)というダウンタウンが司会の夕方のバラエティ番組が放送されていて大ブームとなり、どハマりしました。
当時あった大阪・心斎橋筋2丁目劇場から番組が生放送されていて、生だから番組の前と後には本人の出入りがあるわけで、関西のお笑い好きな女子中高生はビルの外で出演者を待つのですが、ダウンタウンが大好きな筆者もよく学校が終わってから2丁目劇場に駆けつけていました。
加えて、当時ダウンタウンがパーソナリティーを務めていたラジオ「MBSヤングタウン」にせっせとハガキ職人と化して(いまの時代メールですよね…)ハガキを送り続け、夏休みの思い出話が採用され、一緒に出演していたハイヒールのモモコさんが読んでくれたのも、ダウンタウンのコンサートに行ったりしたのも、懐かしい思い出。だから、ダウンタウンを観ると少しノスタルジーも感じつつ、いまでも欠かさず番組を観ています。
ダウンタウンが東京に進出してから30年以上経ちますが、松本さんも、さまざまな番組や作品でわたしたちに笑いや元気を届けてくれていますよね。筆者だけでなく、みなさんにとってのそれぞれの思い出があるはずなので、積み重ねられたそんな歴史を鑑みつつ、この巨匠対談を観てみるのもいいかもしれません。
松本さんが考える「世界」の話、どんな作品も「角度」で変わる話、庵野さんの今後控えている新作映画の話なども興味深いものでした。対談後、おたがいに「似ているところがある」「楽しかった」と話し、最後までカメラ位置を気にしていた庵野さん、そんな庵野さんを気遣う松本さんの姿が心に残りました。みなさんも、ぜひその様子をのぞいてみては?
『庵野秀明+松本人志 対談』
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09C28F3KT/ref=atv_hm_hom_1_c_Q2udFd_4_1
本編を見たあとはこちら↓↓↓もチェック!
かわむらあみりのテレビウォッチング
https://suits-woman.jp/column/tv/
前回/門脇麦×森山直太朗が織り成すドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』が醸す哀愁