コラム『愛の不時着』『梨泰院クラス』の次はこちら!ハードな人生を美麗な装飾でソフトに包んだ、大人の毒々ファンタジー『サイコだけど大丈夫』

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』(Netflix)をご紹介します。

精神病院を舞台に“生きづらさ”を抱える人たちが交差

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右・ナイフを素手でつかむ主人公のムン・ガンテ(キム・スヒョン)、左がヒロインのコ・ムニョン(ソ・イェジ)。 (Netflixオリジナルシリーズ『サイコだけど大丈夫』独占配信中)

日本でも話題を呼んでいる『愛の不時着』『梨泰院クラス』といった韓国ドラマで、新たに注目を集めている『サイコだけど大丈夫』。韓国でドラマが放送された直後の2020年6月20日から日本でもNetflixで配信がスタートしたばかりだというのに、すでに総合TOP10上位に連日ランクインし続けています。

『サイコだけど大丈夫』は、愛することも希望を持つこともなく生きてきた、「OK精神病院」で働く保護士のムン・ガンテ(キム・スヒョン)が主人公。精神病院で献身的に働くガンテは、ある日、愛を知らずに生きてきた人気童話作家のコ・ムニョン(ソ・イェジ)に出会い、そのサイコな言動に振り回されながらも、次第に惹かれ合っていきます。ガンテの自閉スペクトラム症の兄、ムン・サンテ(オ・ジョンセ)は、もともとムニョンの絵本が好き。3人の人生が交差して、知られざる運命の扉が開き、その先には衝撃の事実が待ち受けているのでした。

オープニングでも表現されている童話の中のような世界観に惹き込まれるものの、ただファンタジーなだけではなく、いばらのトゲに指をさして血を流す場面があるように、毒々しさを内包しているのが『サイコだけど大丈夫』。

心の病いを持つ人たちが過ごす精神病院が舞台だったり、サンテの自閉スペクトラム症の描写だったり、ムニョンのサイコぶりだったりとデリケートに扱われがちな題材をベースにしながらも、ハードになりすぎない絶妙のバランスでストーリーは展開していきます。

ストーリーが進むにつれて、登場人物が抱える“闇”が明らかになっていくのですが、どれもさじ加減を間違えると、「重々しくて観ているのがツライ」と感じてしまう視聴者も出てくる可能性大。ですが、そんなハードさを役者たちが巧みに演じ、ムニョンの装いや豪華なお屋敷、美麗なセットなどで、ソフトに包み込むことに成功しています。

サンテを演じているオ・ジョンセさんは、今年6月に開催された韓国のゴールデン・グローブ賞といわれる「百想芸術大賞」で、韓国の大ヒットドラマ『椿の花咲く頃』(日本ではNetflixで配信中)に出演し、男性助演賞を受賞している実力派。『サイコだけど大丈夫』で見せるサンテの姿は、それがまるで演技だと感じさせないほど、見事です。

そして、ガンテ、ムニョン、サンテといった主要3キャラクターのそばには、ガンテの親友のチョ・ジェス(カン・ギドゥン)、ガンテに想いを寄せるナム・ジュリ(パク・ギュヨン)、ジュリの母でムン兄弟を心配しつつも美味しいご飯でもてなすカン・スンドク(キム・ミギョン)、ムニョンの絵本の出版社代表であるイ・サンイン(キム・ジュホン)ほか、彼らを温かく見守る人たちが登場することも、視聴者を和ませている要素だといえるでしょう。

迫る危機に直面しても、温かいまわりの人たちに支えられながら、なんとか前を向こうとするガンテたち、それを支える脇役たち。主人公のガンテを演じるキム・スヒョンさん、ムニョンを演じるソ・イェジさんとは、どんな俳優さんなのでしょうか。

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ガンテ、ムニョン、ガンテの兄のムン・サンテ(オ・ジョンセ)で、記念すべき“家族写真”を撮影。 (Netflixオリジナルシリーズ『サイコだけど大丈夫』独占配信中)

主人公&ヒロインがスタイルの良さでも視聴者を魅了

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劇中では、キム・スヒョンさんのおセンチな表情が満載ですが、時折笑顔も見せます。 (Netflixオリジナルシリーズ『サイコだけど大丈夫』独占配信中)

“生きづらさ”を抱えるハードな人生を歩む登場人物を達者な役者たちが演じ、ムニョンの装いや豪華なお屋敷、美麗なセットなどで、ソフトに包み込むことに成功している『サイコだけど大丈夫』。

キム・スヒョンさん演じる主人公のガンテは、外では勤務先の「OK精神病院」で献身的に患者さんのケアをし、家では自閉スペクトラム症である兄のサンテのお世話をしているものの、自分自身の心の傷については見て見ぬ振りをしている(見て見ぬ振りをせざるを得ない)ところが切なさを増幅させています。

そんな切なさを繊細な演技で演じるキム・スヒョンさんは、日本に韓流ブームを巻き起こしたペ・ヨンジュンさんが代表を務める事務所に以前所属し、主演したファンタジー・ロマンス史劇『太陽を抱く月』が最高視聴率40パーセントを超える大ヒットを記録。2017年から入隊のため俳優業からは遠のいていましたが、2019年に除隊後、現在は新事務所Goldmedalistに所属して、5年ぶりのお茶の間復帰ドラマとして『サイコだけど大丈夫』に主演しました。ちなみにムニョン役を演じているソ・イェジさんも同じ事務所。心機一転、事務所をはじめ韓国芸能シーンを盛り上げるべく、注目を集めている俳優さんです。

キム・スヒョンさんは、太眉にまあるい瞳、口角の上がった口元が印象的な童顔ながら、相反する筋肉たっぷりの引き締まった肉体美に“ギャップ萌え”する女性も多いのだとか。日本でいま再び韓流ドラマが注目を浴びていますが、火付け役だといわれる『愛の不時着』にも、緑色のジャージを着て“ある役”で特別出演しています。マッシュルームカットのような髪型で、突然現れてはしゃいで去っていく様子は、『サイコだけど大丈夫』で見せる切ないガンテ像からはまったく想像がつきませんよね。

そしてヒロインのムニョン役を演じるソ・イェジさんは、とにかく抜群のプロポーションと圧倒的な華やかさを放つ女優さん。劇中では、顔に似合わない低音ハスキーボイスで繰り出す攻撃的な言動、絶望的な生い立ちといったダークさをつい忘れてしまうほど、華奢な容姿をより魅力的に見せるデザイン性に富んだ数々のファッションが素敵です。「細すぎる!」と話題になったそのウエスト、とがった鼻とアゴ、大きな瞳がおさまった小さな顔……どれも、ソ・イェジさんじゃないとキマらないでしょう。

劇中では、ムニョンの実家がお屋敷なわけですが、クラシカルな装飾やシャンデリアほか、豪華なセットに負けない美しさのソ・イェジさん。「サイコ」だといわれる美女で外では「ツンツン」しているものの、愛するガンテの前では、「デレ」を隠さないその“ツンデレ”加減もまた、キャラクターに可愛げをもたらしていると思いませんか。

キム・スヒョンさん、ソ・イェジさんという、演技だけでなくルックスが抜群な2人に加え、実力派のオ・ジョンセさんの3人が軸となって繰り広げられる『サイコだけど大丈夫』。1度観るとハマってしまう、大人のダークファンタジーといえそうです。

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独特な衣装もキマるソ・イェジさんの極細ウエスト! 韓国ドラマのヒロインは大きなサングラスが定番らしい。  (Netflixオリジナルシリーズ『サイコだけど大丈夫』独占配信中)

Netflix『サイコだけど大丈夫』https://www.netflix.com/title/81243992時間