コラム不穏な鐘が鳴り響くドラマ『最愛』は吉高由里子×松下洸平×井浦新によるダークなサスペンスラブストーリー

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、金曜ドラマ『最愛』(TBS系 毎週金曜午後10時)をご紹介します。

ヒット作を手がける面々がドラマを支える

(C)TBS

『最愛』は、吉高由里子さん演じる殺人事件の重要参考人となった主人公の実業家・真田梨央と、松下洸平さん演じる梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・宮崎大輝、そして井浦新さん演じるあらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎の3人を中心に展開する、サスペンスラブストーリーです。

2006年、梨央が青春時代を過ごしていたのどかな田舎町で失踪事件が発生。15年後、時代を牽引する実業家となった梨央の前に事件の関係者が現れ、そのことがきっかけで、当時の記憶とともに封印したはずの事件が再始動します。

今作は『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(20年 ともにTBS系)のプロデューサー・新井順子さんと演出・塚原あゆ子さん、『リバース』(17年放送 同系)でこのおふたりと組んだ奥寺佐渡子さんと清水友佳子さんの脚本による、完全オリジナル・ストーリー。

これらヒット作を手がけた面々による今回のドラマだけに、初回からすでにハイライトばかりという印象大。過去の失踪事件が現在の殺人事件へとつながっていく、謎が謎を呼ぶスリリングな展開に、グイグイと引き込まれてしまうのです。

前回放送された第3話では、梨央が新薬開発事業を手がける由縁となった最愛の弟・優が、罪を犯した記憶を取り戻して姿を消し、さらに成長した優が発見されたものの縁を切りたがっているという事実が判明。

また、梨央が代表取締役を務める「真田ウェルネス」に一通の脅迫メールが届き、事業説明会で警備員に変装した脅迫メールの送り主が、刃物を持って襲いかかる……という衝撃の事態が勃発しました。

まだ第3話までの放送とはいえ、第1話からここまでですでに不穏の鐘が鳴り響き続けている同作は、畳み掛けるようなスピーディーさと、事件の真相を解き明かすための手がかりが随所にちりばめられているところがポイント。

事件の犯人が明かされているようでそうでもない、「この人が犯人?」と推理しつつも、「やっぱりこっちもアヤシイ!!」となる、考えれば考えるほど深みにハマっていく深淵さがあるのです。

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きっとタイトルからして、それぞれの登場人物が抱える“最愛”の感情、そして“最愛に想う人物”を守るために、事件の真相が見えなくなっているのだろうと推測。ふたを開ければ、その真相は納得できる部分もあるのかもしれません。

梨央と大輝の地元という設定で登場する白川郷は、まがまがしい事件とは無縁に思える(思いたい)ほどの、美しい自然が広がる場所。のどかさとまがまがしい事件の深い溝は、強すぎる陰陽のコントラストとして、目に焼き付くのです。

続いては、そんな物語を紡ぐ吉高さんをはじめとする、役者のみなさんに迫ります。

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吉高由里子をとりまく演技力の高い共演者の妙

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15年前の事件をきっかけに繰り広げられる、サスペンスラブストーリー『最愛』。吉高さん演じる主人公の梨央をめぐって、松下さん演じる梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・大輝、井浦新さん演じるあらゆる手段で梨央を守る弁護士・加瀬という、立場の違う2人の男性の対峙も見逃せません。

梨央は、学生時代とはまるで別人のような凛とした代表取締役のときの顔と、昔に戻ったかのようなかわいらしさも垣間見える、方言を使う素顔とのギャップが、たまりません!

前回の放送では、大輝から「ずっとどうしてるんか、気になっとった」と告白され、じっと見つめ合う梨央と大輝のシーンに「わーっ! 愛が再燃してる!」と釘付け。あの絶妙な間もさることながら、バックに流れる宇多田ヒカルさんの主題歌『君に夢中』がムードを盛り上げて超マッチ。

次回の予告では「お前やないってこと、俺が証明する」と、大輝が事件の真犯人を探すため、梨央に決意表明したとみられる声も聞こえ、ずっと想いを寄せていたその一途さにキュンですよね。なんて純愛。いま大輝は刑事となり、なんの因果か、重要参考人となった“最愛の女性” 梨央との許されざる愛の行方が気になります。

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対する、井浦さん演じる「真田ウェルネス」の弁護士・加瀬の立居振る舞いからも目が離せません。前回、脅迫メールの送り主が刃物を持って襲いかかってきたとき、身を挺して梨央を守った姿にはもう、キュンキュン警報発令!!(実は何か裏があるかもしれないけれど)徹底して、法でも言動でも梨央を守り抜くその姿に、惚れてしまう女性は多いはず。

井浦さんは『アンナチュラル』にも出演していましたが(切ない役に胸が張り裂けそうでした)、実に幅広い役柄を毎回見事に演じ切るその表現力と、まとうオーラに魅了されます。

吉高さんと松下さんは2020年に『東京タラレバ娘2020』(日本テレビ系)で、吉高さんと井浦さんは2008年の吉高さん主演映画『蛇にピアス』(吉高さんは「第32回日本アカデミー賞」新人俳優賞と「第51回ブルーリボン賞」新人賞をダブル受賞)などで、それぞれ共演してからの今作。

以前の作品はどれもまったく違う役どころと物語ですが、いつどのキャラクターを演じても、ブレずにその役をまっとうする吉高さん、松下さん、井浦さんに今後も期待が募ります。そしてこの3名をとりまくのは、梨央の母・真田梓役に薬師丸ひろ子さん、真田ウェルネスの専務・後藤信介役に及川光博さん、梨央の父・朝宮達雄役に光石研さんといった実力派がずらり勢揃い。

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また、「イケオジ」と名高い津田健次郎さんが、大輝の上司となる警視庁捜査第一係長・山尾敦役として出演しているのもうれしい限りです。津田さんはみなさんご存知の通り、大人気アニメ「呪術廻戦」の七海建人役など、声優・俳優・ナレーター・映像監督と幅広く活躍していますが、やっぱりあの声、渋いですよね。

そんな精鋭が揃う『最愛』の次回、11月5日放送・第4話は、事業説明会での騒動に加え、真田ウェルネスの疑惑を追及する記事のゲラが出回り、後藤の梨央への風当たりはますます強くなる頃、警察は殺人事件の被害者に500万円を渡した男の足取りを追うのでした…最新回も要チェックです!

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金曜ドラマ『最愛』
https://www.tbs.co.jp/saiai_tbs/

かわむらあみりのテレビウォッチング
https://suits-woman.jp/column/tv/
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