コラム令和初の『紅白歌合戦』は吉と出るか凶と出るか 〜その1〜

テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。

テレビから放たれるさまざまな世界は、家にいてくつろぎながら新発見ができる、特別なものばかり。現在は、パソコンやスマートフォンでもテレビ番組を観ることができますし、インターネット発信の番組もあり、YouTubeで活躍する方もいますよね。

家でもクルマでも電車でも、いまはどんな場所にいても、番組を楽しむことができます。このコラムでは、バラエティー豊かな番組の中から、毎回、1番組をピックアップして分析。みなさんのテレビライフのさらに箸休め的なコラムになれば幸いです。

 昭和歌謡界の大スターが“AI美空ひばり”として登場

最新のAI技術でよみがえる美空ひばりは“AI美空ひばり”に。 (c)NHK

今回は、毎年恒例の大晦日番組『第70回NHK紅白歌合戦』(12月31日 NHK総合ほか 午後7時15分)を取り上げましょう。

言わずと知れた国民的歌番組の『紅白』は今年で70回。歴史を振り返ってみると、昭和26年(1951年)にスタートした第1回目は1月3日、正月のラジオ番組として放送され、当時は出場歌手なども一切発表されていませんでした。昭和28年(1953年)の第3回目となる『紅白』が正月番組としては最後の放送となり、熱戦が伝わるようにスポーツ担当のアナウンサーが実況。同年、テレビの本放送開始にともない、第4回から大晦日の番組としてスタートし、現在まで放送されています。

記憶に新しい平成30年(2018年)の『紅白』では、わが家の子どもも保育園の運動会で踊ったほどキッズに大人気の「パプリカ」を歌うFoorinが登場したほか、親子で楽しめる内容に。とくに印象的だったのは、松任谷由実がNHKホールにサプライズ登場した場面でどよめく観客と感動で号泣する出演者のaiko、徳島中継の米津玄師が大塚国際美術館内システィーナ・ホールで5000個のキャンドルが灯る演出の中で歌う姿、そこに登場したダンサー・菅原小春のインパクト大すぎるダンス、MISIAの驚異の歌唱力などに度肝を抜かれました。

今回、令和元年(2019年)初の『紅白』では、さまざまな企画があるなかで昭和歌謡界の大スター・美空ひばりが、なんと“AI美空ひばり”として復活する企画も。平成元年(1989年)に52歳で永眠されてから、30年。AI(人口知能)でよみがえるというのですから驚きますが、現在テレビの視聴年齢層が高いことを考えると、令和に“AI美空ひばり”が登場するのも納得。AIとはいえ若年層にも受け入れられるか反応が気になるところですが、お茶の間のおじいちゃんおばあちゃんは確実に喜んでくれるはずです。

そんな美空ひばりが生前最後に発表したシングル「川の流れのように」を手がけた秋元康が今回も作詞・プロデュースした新曲「あれから」を“AI美空ひばり”が歌唱するそうですが、この“AI美空ひばりの曲が配信されている事実”にも時代の流れを感じます。昔は配信で音楽を聴くなんて、まったく想像していませんでしたよね。すでにパッケージ化されたCDが売れない時代となり、フィジカルとしての音楽作品のあり方が方向転換していることをしみじみ感じます。

2019年ブレイク組やビッグネームらも続々登場

時代の流れを感じるといえば、今回『紅白』に初出場するOfficial髭男dismは、某歌番組で「サブスクでヒゲダンを聴く」というワードが理解できるかできないかで、若いかそうじゃないかを察するコーナーまでありました。すっかり世間に浸透している「サブスク(リプション)」とは定額制の音楽配信サービス、「ヒゲダン」はOfficial髭男dismの略称だなんてことは、堅実女子のみなさんなら、もうご存知ですよね。

ヒゲダンに続いて初出場組を見ていくと、今年デビュー40周年にして“初紅白”となる竹内まりやが「いのちの歌」を披露。40年間出演しなかったトップアーティストが令和初の『紅白』でどんなステージを見せてくれるのか、必見です。さらに2019年にブレイクしたKing Gnu、意外にも初出場となるKis-My-Ft2にも注目。

ジャニーズだと、グループ休止前のラストイヤーとなる今回の『紅白』で、米津玄師が作詞作曲したNHK2020ソング「カイト」を嵐が初披露。米津玄師×嵐というビッグネームがコラボするというだけでも注目度が高いなか、『紅白』の場で新曲が解禁されるのですから、視聴率にも大きく貢献しそうな予感。

嵐といえば、個人では昨年に続いて2回目の白組司会を今年も嵐・櫻井翔が担当。3年連続で総合司会を務めるのは内村光良、2013年・15年に続く3回目の紅組司会は綾瀬はるかといった盤石さで、司会については向かうところ敵なし。さらに『紅白』ならではの企画やゲスト審査員にも着目しましょう。今回、なんとあの“西の女帝”が25年ぶりに『紅白』の場へ登場するのだとか。果たして辛口コメントが聞けるのでしょうか!? ~その2〜に続きます。

※写真提供=NHK

※参考webサイト=『第70回NHK紅白歌合戦』https://www.nhk.or.jp/kouhaku/index.html