コラム令和初の『紅白歌合戦』は吉と出るか凶と出るか 〜その2〜
テレビウォッチャーでコラムニストのかわむらあみりです。
今回は、毎年の大晦日恒例の国民的歌番組『第70回NHK紅白歌合戦』(12月31日 NHK総合ほか 午後7時15分)を取り上げて、過去から最新の『紅白』までを分析しています。~その1~はコチラ
歌手・ビートたけしが高年齢層のハートを鷲掴み!?
豪華な出場者が、その年を締めくくる一夜に一堂に会するという、普段見られない画を観ることができるのも『紅白』の見どころ。また、歌だけではなく、さまざまな企画やゲスト審査員の存在などでも、大晦日の夜を盛り上げます。
今年は南海キャンディーズの山里亮太、渡辺直美らが “副音声を使ったちょっとゆるい実況トーク”の「紅白ウラトークチャンネル」を担当。昨年の『紅白』で、ちらりとウラトークを聞いてみましたが、視聴者側の目線でコメントしていたり、一緒に歌を口ずさんでいたりしていました。歌手の歌声が聴こえないので、歌うなら小声にしてほしいですが(苦笑)、タレントたちのいる“あちら側”ではなく、まるでテレビを観る“こちら側”にいて、みんなで視聴しているような親近感を覚える仕掛け。こうして多角的に『紅白』が楽しめる、いろいろな企画が盛りだくさんなのです。
今回行なわれる「夢を歌おう」特別企画では、YOSHIKIとKISSのコラボや『アナと雪の女王2』『トイ・ストーリー4』『アラジン』といった今年大ヒットしたディズニー映画の名曲メドレー、ラグビーワールドカップ日本代表選手の前で松任谷由実が名曲「ノーサイド」を歌唱するなど、見逃せないラインアップが目白押し。とくに“笑わない男”といわれるラグビー日本代表の稲垣啓太選手は、ユーミンの歌を生で聴いても、感動するのかしないのか!? やっぱり笑わないのかどうかも、プチ見どころかも。
そのなかでも「夢を歌おう」特別企画の目玉は、ビートたけしが“歌手”として初登場すること。下積み時代の思い出を綴った「浅草キッド」を披露するというのですから、“AI美空ひばり”もそうですが、“歌うビートたけし”をもっとも期待している高年齢層のハートを鷲掴みにしていく作戦でしょうか。
これから始まる令和時代の『紅白』の進化とゆくえ
いろいろな企画も楽しいものですが、メインの白組と紅組の歌合戦にももちろん期待したいところ。今回の『紅白』出演者の出場回数に注目してみると、最多が五木ひろしの49回目、続いて石川さゆりの42回目、郷ひろみの32回目、坂本冬美31回目、天童よしみ24回目、松田聖子23回目、氷川きよし20回目と続きます。
永遠のアイドル・松田聖子を除き、演歌歌手の方は出場経験が多いですね。なかでも、デビュー以来20年連続で『紅白』に出場している氷川きよしは、めまぐるしい変化を遂げています。まるでビジュアル系のアーティストのように見せたときもあれば、いまは非常にやわらかい雰囲気でお肌もツルツル、中性的なルックスで、妖美になっています。
令和の時代は、人と同じことをするよりも“自分らしく生きる”ことが受け入れられる時代。『紅白』では基本的に紅組は女性歌手、白組は男性歌手が出場するようになっていますが、いつの日か男女別のチーム編成は変わってくることがあるかもしれませんね。もしくは「チーム月」「チーム太陽」などの名称変更をするのか。これから続く令和時代の『紅白』の進化も気になるところです。
さらに着目したいのは、ゲスト審査員の顔ぶれ。プロボクサーの井上尚弥選手、東京2020聖火リレー公式アンバサダーでもあるサンドウィッチマン、2020年大河ドラマ『麒麟がくる』主演の長谷川博己、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏ほか、さまざまなジャンルから選ばれた11組が登場します。
そのなかでも、上沼恵美子がゲスト審査員を務める点に期待度大。上沼恵美子は、某お笑いコンテストの審査員としても有名ですが、“誰にも忖度しない”堂々たる審査に定評があります。1994年からは、2年連続で紅組の司会を務めたこともあり、実は大ヒット曲の持ち歌もある凄腕。『紅白』でどのような審査をするのか、注目しましょう。
『紅白』は、キラキラするアイドルや勢いのあるアーティスト、ベテランの演歌歌手の方など、さまざまな人たちが集結する特別な場所。子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、それぞれの“お楽しみポイント”を見つけて、ゆく年をのんびり送り、くる年を笑顔で迎えたいですね。
※『第70回NHK紅白歌合戦』https://www.nhk.or.jp/kouhaku/index.html