コラム吉川晃司、ただそこにいるだけで“絵になる男”の秘訣は美意識にアリ『探偵・由利麟太郎』

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits WOMANでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、フジテレビ系ドラマ『探偵・由利麟太郎』(火曜午後9:00=関西テレビ制作)をご紹介します。

ロックミュージシャンとして培われた美意識の高さ

吉川晃司さん演じる主人公・由利麟太郎。
1949年式のフォードに乗る姿も美しい。
(C)関西テレビ

6月16日から、5週連続特別ドラマとしてオンエアされている『探偵・由利麟太郎』は、横溝正史が、金田一耕助よりも前に世に送り出していた名探偵・由利麟太郎シリーズを初めて連続ドラマ化したホラーミステリー。元警視庁捜査一課長という経歴を持つ、冷静沈着な白髪の紳士の主人公・由利麟太郎をロックミュージシャンであり、俳優でもある吉川晃司さんが演じています。

京都を舞台にした同ドラマは、1985年に放送された『影の軍団 幕末編』以来、34年ぶりに、すべて関西地区で全撮影を行なった意欲作。伝統ある東映京都撮影所を拠点に、すでに全撮影を終えているため、新型コロナウイルス感染拡大防止のためドラマ放送が延期になることも多い現状のなか、順調に制作・放送まで進みました。

同作は、吉川さんにとって、地上波の連ドラ初主演作。吉川さんが出演したドラマといえば、近年では『下町ロケット』(TBS系 2015年・2018年)の財前道生部長役で見せた重厚さ、大河ファンタジー『精霊の守り人』(NHK 2017年)で披露した短槍の達人・ジグロ役での見事な所作、テレビドラマ初主演作『連続ドラマW 黒書院の六兵衛』(WOWOW 2018年)での寡黙だけれど存在感のある的矢六兵衛役などが、印象深かったという人も多いのでは。

今回の『探偵・由利麟太郎』は、『黒書院の六兵衛』のときと同じ東映京都のスタッフの方と組んだ作品ということもあって、これまでのドラマで吉川さんが見せていた魅惑ポイントがギュギュッと凝縮されて画面から放たれています。

初回放送直後からその凛とした佇まいが「かっこよすぎる!」と大反響。吉川さん演じる由利は、鋭い洞察力と思考力で、観察することで真実を浮かび上がらせていきます。事件現場や関係者への聞き取り調査の際も、182cmはあるといわれている長身で、ロングコートをさらりと着こなし、長い裾をひらひらとはためかせる姿は男性ながら美しささえ、感じさせてくれるんです。

また、ドラマのメインテーマ「Brave Arrow」、エンディングテーマ「焚き火」ともに吉川さん自身が書き下ろしていて、ミュージシャンの本領を発揮! 「焚き火」なんて、ほぼスキャットなんですよ。カントリー&ウエスタン調の楽曲にあわせて響く、吉川さんの歌声がなんとも、渋い!この曲を聴いていると、遠い昔に聴いたウイスキーのテレビCMで流れていた、スキャットの曲を思い出しました。

今回のドラマで吉川さんの佇まいが「かっこいい」と評判なのも、その経緯を振り返ってみると、やはりそれは音楽活動に原点があるに違いありません。1984年にシングル「モニカ」で鮮烈な歌手デビューを果たした吉川さんは、今年でデビュー36年目を迎えます。

吉川さんはデビュー後、ソロ活動でヒットを飛ばしたのち、日本のロックシーンに多大なる影響を残した伝説的なロックバンド・BOØWYのギタリスト・布袋寅泰さんと、BOØWY解散直後の1988年に「COMPLEX」というユニットを組みました。

当時は、誰もがBOØWYのコピーバンドを組むほどのバンドブーム。BOØWYと同郷の群馬県発のバンドで、現在もロックシーンでトップを走るBUCK-TICKが好きな筆者も、それから何年かあとですがバンドを組んでいました。そんな環境だったので、元BOØWYの布袋さんと吉川さんのユニットにも、もちろん興味津々。

いまから約30年前、筆者の地元・大阪にある大阪城ホールで開催された、COMPLEXのライブに行きました。そこで目撃した長身の吉川さんが長い手脚でステージ上で歌い、踊る姿は、なんとも美しかったんです。また、吉川さん以上に背の高い布袋さんのギターを弾く姿も、圧巻。かっこいい2人の繰り広げるパフォーマンスに、会場が一体となりました。「BE MY BABY」「恋を止めないで」など、いま聴いてもノリノリになってしまう名曲が、COMPLEXにはたくさんあるんですよ。

思い起こせば、吉川さんのこういった音楽活動でビルドアップされた美意識の高さは、現在の俳優活動にも影響しているのではないでしょうか。そんな吉川さんの佇まいの美しさに、男女問わず視聴者は釘付けになり、ドラマの出演者さえも魅了されているのかもしれません。

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由利を敬愛して見つめる、助手でバディの
三津木俊助(志尊淳)。2人は
静と動のコンビ。 (C)関西テレビ

吉川晃司さんをはじめ、志尊淳さん、田辺誠一さんらイケメンがズラリ

殺人現場で消えた死体を捜査する、由利と
等々力。第2話より。  (C)関西テレビ

『探偵・由利麟太郎』では、主人公・由利麟太郎を演じる吉川晃司さんの美意識の高さ、その佇まいが好評ですが、それは由利とバディを組むこととなったミステリー作家を目指す青年・三津木俊助役の志尊淳さんも同じ気持ちのようです。

吉川さんのことを「ミュージシャンとしてのパフォーマンスはもちろんのこと、一人の人間としても、なんてかっこいいんだろう、ついていきたい」と感じていたと、志尊さんは公式サイトで語っています。ドラマでは、寡黙で冷静な由利と、おしゃべりな三津木が、まるで“静”と“動”で対照的。子犬のような(失礼!!)まあるい瞳で、由利のあとをついていき、慕っている三津木を演じる志尊さんは、なんだか癒し効果バツグンな気がします。

また、由利の大学時代の同期で、一緒に捜査にあたる等々力警部役を演じる田辺誠一さんも、吉川さんや志尊さんとはカラーの違った味わいがあります。静かな由利、動く三津木、ちょっと抜けているところのある等々力。この3人が軸となって、5週連続ドラマが展開していきます。

そして初回放送後、本筋とは違う意味で、盛り上がっていたことがありました。それは、ヒーロー好きにはたまらない役者がずらりとそろっていたこと。特撮ドラマ『仮面ライダーW』で鳴海荘吉(仮面ライダースカル)役を演じた吉川さん、戦隊ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」でライト/トッキュウ1号を演じた志尊さん、『探偵・由利麟太郎』初回放送の瑛一役にスーパー戦隊シリーズ「騎士竜戦隊リュウソウジャー」でナダ/ガイソーグ役を演じた長田成哉さんが出演していたんです。

戦隊ヒーロー役にはイケメン俳優さんも多く、その後ブレイクしていく男性もたくさんいることから、子どもだけでなく、女性からの注目度が高いんですよね。そういう意味でいうと、6月23日放送の第2話には、「仮面ライダービルド」 で万丈龍我(仮面ライダークローズ)役を演じた赤楚衛二さんが五月翔太役で登場します。

新川優愛さんなどをゲストに迎えた初回放送では、殺害予告メールが届いたことから、事件の謎を解明していくストーリーでした。次回の第2話では、得体の知れない“黒い影”に襲われる悪夢に悩むホステス・吉岡エマ(水上京香)を心配する、恋人の五月翔太(赤楚衛二)。日ごろから幻覚に悩まされていたエマは「女性の死体を見た」と言いだし、道端で放心状態のエマに遭遇した三津木は、真相を確かめるべく、由利に助けを求めます。次はいったいどんな展開になるのか、吉川さんの名推理に期待しましょう!

吉川さんのような探偵なら、悩みを
話してみたくなるかも。由利とエマ。
第2話より。 (C)関西テレビ

『探偵・由利麟太郎』https://www.ktv.jp/yuri/
協力/関西テレビ