コラム国民的作品『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』で煉獄杏寿郎の強く凛々しい生き様を見よ!

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』(フジテレビ系 毎週日曜 午後11時15分)をご紹介します。

炎柱・煉獄杏寿郎が無限列車へと向かう道中の任務を描くアニメ

吾峠呼世晴さんによる漫画『鬼滅の刃』は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で2016年2月発売の11号から、2020年5月発売の24号まで連載されていました。原作の単行本全23巻(集英社ジャンプ コミックス刊)は累計発行部数1億5000万部を突破し、これらをもとにしたアニメ『鬼滅の刃』も、メガヒットを記録。

主人公の少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう/声:花江夏樹)らが所属する鬼殺隊が、鬼を退治するために無限列車に乗り込み、鬼殺隊の最高位“柱”である「炎の呼吸」の使い手、炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう/声:日野 聡)とともに、熾烈な闘いを繰り広げる映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は2020年10月に公開されました。

劇場版は、日本映画史の興行収入を塗り替える歴代1位の403億円突破という快挙を成し遂げ、 全世界興行収入約540億以上となるなど、もはや説明不要といえるほど、誰もがその物語に惹き込まれたのです。

筆者も『鬼滅の刃』を読みたくて初めて「週刊少年ジャンプ」を購入しましたし、単行本も読破し、アニメも全作視聴、劇場版は映画館へ足を運んだのはもちろん、Blu-rayも購入し、家族でも何度も鑑賞しています(でも、いつも泣いてしまうのはママが一番多い)。子どもだけではなく大人まで、さらに年齢も性別も国境も超えて、愛される“鬼滅”の世界。

そんな「国民的作品」となった『鬼滅の刃』。原作を大事にしながらufotableが描くアニメーションは、圧巻の映像美で、さらに魂のこもった声優陣の芝居や、荘厳な音楽にも魅了されます。

地上波では、2019年4月から9月にテレビアニメ化され、「竈門炭治郎立志編」(TOKYO MXほか)放送後に動画配信サービスでも全26話を配信。それらの特別編集版をフジテレビがゴールデン・プライム帯で2020年は2週連続、2021年は5夜連続で放送。9月には、同局で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が初放送されました。

すでにTVアニメ「遊郭編」が同局にて放送される(12月5日スタート)というニュースはアナウンスされていましたが、まさかの(!)劇場版オンエア後に、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』が10月からスタートするという、鬼滅ファンにはめちゃくちゃうれしいニュースがサプライズ発表。

ここで、待望の『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』の10月10日に放送された、完全新作となる第1話『炎柱・煉獄杏寿郎』をさっそく振り返ります。

煉獄家の父・槇寿郎から子・杏寿郎へと注がれる炎柱の絆

第1話『炎柱・煉獄杏寿郎』は、煉獄さんが、鬼殺隊本部を旅立って無限列車へと向かう道中の任務を描いた、完全新作エピソード。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を彷彿とさせる、無限列車のシーンから物語はスタートしました。

続く蕎麦屋のシーンでは、「うまい!」と連呼する、快活な煉獄さんの姿が! 劇場版を観た方や原作を読んで結末を知っている方にとっては、壮絶な今後の展開を思うと、腹ペコで「俺ももう一杯もらおう!」とおかわりをする煉獄さんの健やかさ、元気な姿に、笑顔がこぼれてしまうでしょう。

ufotableが描くアニメーションは、きめ細やかで、情景の素晴らしさも見応えがあることは知られていますが、今作で登場する蕎麦やお弁当といった食べ物も、実に魅力的に描かれていました。

とくに蕎麦屋のシーンは食欲をそそり、美味しそうでしたよね!? 気を良くした店主からかき揚げをおごられて、「ありがたい」と言いながら、サクッとかじって「うまい!!」と言う煉獄さん。いやぁ、素敵―!

食つながりでいえば、当初煉獄さんを警戒した弁当屋の女の子から、顔面にアンパンを投げつけられる様子は、「え、炎柱になんてことするねーんっ!」と、思わずツッコんでしまいたくなりました。しかし、そんなことはまったく意に介さない様子で煉獄さんはアンパンをかじり、「うまいっ!」のひとこと。

鬼と闘うシーンはシリアスなものの、こういったコミカルさが随所にちりばめられているおかげで、楽しく観ることができるのです。

そして整備中の無限列車がある倉庫へと、「弁当を差し入れに来た」という名目で、侵入する煉獄さん。そこへ整備士の少年を人質に、牛鍋弁当を踏みつけながら、煉獄さんに啖呵を売る“切り裂き魔”こと、鬼が登場。真心込めて作った弁当を粗末にする鬼に怒り、みんなを守るために、闘う煉獄さん。

さらに、弁当屋でおばあちゃんを襲おうとする鬼に、「炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)」の技を繰り出し、一撃。

その煉獄さんを見たおばあちゃんは、「あなたは、救ってくださったのですね。2度も」と、羽織の炎の模様などを見て、実は親子二代にわたり炎柱に助けられていたことを涙ながらに語ります。そう、それは煉獄さんの父・槇寿郎(しんじゅろう)のこと。

かつて柱だったことがウソのように、今は自堕落な生活を送り、酒浸りで横暴な印象が強かった槇寿郎が、ちゃんと炎柱として人助けをしていたシーンが描かれました。

煉獄家の柱としての父子の絆が、かつての槇寿郎の姿を見せることで、強く感じられた場面展開でした。

また、父の所作を立派に受け継いでいる煉獄さんの姿や、おばあちゃんに「俺は父を継いで、鬼を狩っているのです。父と同じように、あなたをお守りできたこと、光栄です」と話す、威風堂々とした煉獄さんがもう、カッコイイ!

うわー、もう、これはまたひたすら煉獄さんを好きになってしまうループが待っているんだなぁ。

鬼を退治して助けてくれた煉獄さんに、お礼のつもりで牛鍋弁当を持ってくる弁当屋のおばあちゃんと孫娘。でも逆に、全部弁当を購入してあげる太っ腹な煉獄さん。

「あなたがたのことは、父に必ず伝えます、喜ぶことでしょう」と話して列車に乗り込みますが……。その後を知る視聴者にとっては、こういった煉獄さんの言葉すべてが、わぁぁ……と刺さってしまいますよね(しんみり)。

とはいえ、劇場版で炭治郎たちが煉獄さんと初対面する際、なぜあんなにたくさんの弁当を煉獄さんが食べていたのか、その謎が今回、解き明かされました(食いしん坊なのかと思っていたら)。

また、単行本にもあった“大正コソコソ噂話”的なちょいとギャグモードなタッチで送られるアニメの次回予告コーナーでは、炭治郎、我妻善逸(あがつまぜんいつ/声:下野 紘)、嘴平伊之助(はしびらいのすけ/声:松岡禎丞)らが、煉獄さんを「アニキー!」と慕うカワイイ感じもあって、次回も本当に、楽しみ!

10月17日放送の第2話「深い眠り」では、40人以上もの行方不明者を出している無限列車を調査するため、現地に赴いた煉獄さんが、ついに無限列車へ。果たして、その先に待つものは?

初回放送では流れませんでしたが、お馴染みのLiSAさんが歌うオープニング曲「明け星」とエンディング曲「白銀」も決定していますし、第2話から第7話は、無限列車での任務を、約70カットの新作追加映像と新規追加BGM、完全新作予告編などとともに描いているのだそう。

さらに今後、12月5日から『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』(毎週日曜 午後11時15分)がスタートするかと思うと(初回は1時間スペシャル)、もう、ワクワクが止まりません! 今後も、『鬼滅の刃』から、目が離せませんよ!!

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火+東」が正しい表記です。

『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』
https://kimetsu.com/anime/mugenresshahen_tv/

かわむらあみりのテレビウォッチング
https://suits-woman.jp/column/tv/
前回/『庵野秀明+松本人志 対談』で語られる天才の頭の中とは?