コラム平成生まれの吉沢亮が魅せる、令和の新しい大河ドラマ『青天を衝け』の味わい深さ

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜 午後8:00ほか)をご紹介します。

内外ともに惚れ惚れ! 美しい吉沢亮扮する渋沢栄一の“男気”

栄一(吉沢亮)と千代(橋本愛)の今後の関係性にも注目したい。 ©︎NHK

大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)は、新一万円札の顔に選ばれた「日本資本主義の父」と称される実業家・渋沢栄一の生涯を描く物語。彼は、約500もの企業を育てると同時に約600の社会公共事業にも関わり、晩年は民間外交にも力を注いで、ノーベル平和賞の候補にも2度選ばれている人物です。

幕末から明治へと、移り変わる近代日本のあるべき姿を追い続けた主人公の栄一を演じるのは、大河ドラマ初出演にして初主演となる、吉沢亮さん。そして同じく大河ドラマを手がけるのは初となる大森美香さんが、脚本を担当しています。

3月7日放送の第4話「栄一、怒る」では、もっとよい藍を作るために妙案を思いついた栄一が、藍農家をねぎらう宴会の席でみんなの士気を高めていく様子もあり、やはり栄一が有言実行の“優れたアイデアマン”であることを確認。きっと令和の時代に生きていたとしても、めきめきと頭角を表していたに違いない、栄一の敏腕ぶりが発揮されていたのでした。

その一方で、父・市郎右衛門(小林薫)の名代として、岡部藩の代官のもとへ行き、多額の御用金を申し渡された栄一は、その理不尽さに怒りがこみ上げます。これからいかに栄一が官尊民卑(かんそんみんぴ)を打破していくのか、今後の展開にも目が離せない視聴者のみなさんも多いことでしょう。

そんな栄一の喜怒哀楽を多彩に演じる吉沢さんは、1994年生まれの27歳。『青天を衝け』では、平成生まれの俳優さんが初めて主演を務めることでも、注目を集めました。2009年、「アミューズ全国オーディション 2009 THE PUSH!マン ~あなたの周りのイケてる子募集~」で審査員特別賞を受賞し、芸能界への道を手にした吉沢さん。

2019年には、連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)で演じた、ヒロイン・なつ(広瀬すず)の幼なじみで初恋の人、親友でもある山田天陽役を演じて話題に。2020年には、映画『キングダム』(2019年公開)での一人二役の演技が高く評価され、第62回ブルーリボン賞「助演男優賞」、第43回日本アカデミー賞「最優秀助演男優賞」を受賞するなど、着実に俳優としてステップアップし続けています。

『青天を衝け』では、男気にあふれる栄一の姿とともに、栄一のいとこでのちに妻となる尾高千代(橋本愛)との初々しいふたりの場面も印象的。前週放送回では、じっと見つめ合いながら「お千代、お前……」と言いかけて、栄一のいとこ・尾高長七郎(満島真之介)たちが割り込んでくるコミカルな描写も面白かったです。

そんな見どころ満載の劇中には、まだまだ見逃せない登場人物が盛りだくさん! 続いては、徳川慶喜役を演じる草彅剛さんほかにも迫ってみましょう!

草彅剛の徳川慶喜は多くの人々を魅了していく

徳川慶喜(草彅剛)にすっかり心酔する平岡円四郎(堤真一)が可愛い。 ©︎NHK

大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)は、実業家・渋沢栄一の生涯を描く物語。幕末から明治へと、移り変わる近代日本のあるべき姿を追い続けた栄一を演じるのは、大河ドラマ初出演にして初主演となる、吉沢亮さんです。劇中での栄一の奮闘ぶりはさることながら、実に興味深いキャラクターがたくさん登場する『青天を衝け』。

毎回、「こんばんは、徳川家康です」と挨拶をして、冒頭でそれまでのおさらいをするストーリーテラーの役割を担う徳川家康役に扮する、北大路欣也さん。最初はインパクトが大きすぎて「へ?」と、何が起こったのかわかりませんでした。でも北大路さんのいぶし銀のような語りと案内で、黒子さんが舞台装置のように背景の場面転換を行い、アナログに物語を振り返る演出があって、なんとも斬新。

……クセになるんですよね、家康の挨拶。すごく思い切った構成ですが、これがまた吉沢さん世代の視聴者の方を中心に、SNSを良い意味でざわつかせて話題となっていることからも、「大河ドラマの新しい見せ方」が披露されているのだと感じました。

その初代将軍・徳川家康が開いた260年あまり続いた江戸幕府を、「家康の再来」と称されながらも閉じることになり、栄一に多大な影響を与えることになる徳川慶喜を演じるのは、草彅剛さん。2004年の『新選組!』以来、17年ぶりの大河ドラマ出演となる草彅さんですが、凛とした慶喜の姿は、画面からあふれだす気品と厳かさがありました。

第4話で、慶喜が変わり者の平岡円四郎(堤真一)を小姓に据えることになるまでのシーンがありましたが、最初はいやいや一橋家に来た円四郎の心を変えさせるだけの心身ともに麗しい立ち居振る舞いをする慶喜。作法を知らない円四郎に、給仕の仕方を教え、農人形に手を合わせる慶喜役がぴったりの草彅さん。髪を結うのもたどたどしく、慣れない役割にがんばる円四郎役の堤さんのツーショットは、なんだか可愛い。

そんなほのぼの感満載のあとに、福井藩主・松平慶永(要潤)と福井藩士・橋本左内(小池徹平)のお風呂のシーンがあって、ちょっとドキドキ(いや、ドキドキする必要ないんでしょうけど)。実にいろいろな見どころがたくさんある、『青天を衝け』の次週も気になるばかりです。

3月14日放送は、第5回「栄一、揺れる」。栄一のいとこ・尾高惇忠(田辺誠一)に薦められた本で、清がアヘン戦争でいかに英国に敗れたかを知った栄一は、開国した日本の未来を危惧。そんななか、栄一の姉・なか(村川絵梨)は、自身の縁談を、“相手の家に憑き物(つきもの)がいる”という迷信的な理由で伯父・宗助(平泉成)たちから反対され、ふさぎ込んでしまいます。一方、幕府の方針をなおも受け入れられない斉昭(竹中直人)は暴走……そんなとき、大地震が江戸を襲う。次週も見逃せません!

大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)
https://www.nhk.or.jp/seiten/index.html