コラム斎藤工×秋元康のドラマ『漂着者』のオカルティックでめくるめく謎解きを堪能
こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。
今回は、斎藤工さん主演の金曜ナイトドラマ『漂着者』(テレビ朝日系 毎週金曜 午後11:15/2021年8月13日は午後11:45からの放送。※一部地域を除く)をご紹介します。
斎藤工だからこそ成り立つイケメンでミステリアスな存在
連続ドラマ『漂着者』は、斎藤さんにとって『共演NG』(テレビ東京系 2020年)に続いて二度目の秋元作品への参加となります。秋元康さんが企画・原作・脚本を務める今作では、とある地方の海岸に、記憶をなくした全裸のイケメン男性が漂着したところから、物語が始まります。
偶然この正体不明の男を発見した女子高生たちが、無邪気な出来心で撮影した動画をSNSに投稿したことで、男は<#イケメン全裸漂着者>としてバズり、一躍時の人に。また、発見時につぶやいた言葉がアーネスト・ヘミングウェイの作品に出てくるものだったため、「ヘミングウェイ」と呼ばれるようになるのです。
自分が何者かもわからないヘミングウェイは予知能力らしきものがあり、世間を騒がせている事件を解決に導き、次第に人々から崇められる存在になっていくという、謎が謎を呼ぶ展開。
もう初回放送から、自ら志願して全裸になったという斎藤さん演じるヘミングウェイが海岸に漂着したシーンや、最後に病院の窓から後ろ向きで飛び降りるシーンなど、衝撃の連続。
さらに飛び降りるときに胸の前で腕をクロスさせるポーズや、その後登場人物もちょこちょここのクロスポーズを見せる奇妙さ、重要な意味がありそうなヘミングウェイの足にほられたタトゥー、少女の失踪事件など、観ていると「???」が頭の中を駆け巡るのです。
第2話では、奇跡的に一命を取り留めたヘミングウェイが、突然現れたローゼン岸本(野間口徹)が主宰する、生活に困っている人々を保護するNPO法人「しあわせの鐘の家」へと保護されます。
ローゼンはヘミングウェイに(こうして書くと外国人同士の会話のよう……)、「わたしたちは1400年以上お待ちしていたわけですから」と、これまた謎の言葉をかける場面もあって、意味深な言葉や人物が盛りだくさん!
そんな不気味さを醸し出す『漂着者』の世界観を観て、秋元さんの『あなたの番です』(日本テレビ系 2019年)のときのように、早くも視聴者からは考察合戦が繰り広げられている模様。でも、いまのところ「え? なんで!?」という予測不能の展開すぎて、謎の解明にはまだまだ時間がかかりそうです。
ヘミングウェイを取り巻く個性的な登場人物たちの行方
斎藤工さん主演の『漂着者』は、秋元さんが企画・原作・脚本を務める、謎だらけの連続ドラマです。斎藤さん演じる正体不明の男・ヘミングウェイのまわりでは、相次ぐ不可解な事件や、意味ありげな登場人物が続々登場。
たとえば、女児失踪事件の現場近くにあるお寺「雲行寺」の住職・深見龍之介役のリリー・フランキーさんや、ヘミングウェイの正体と事件を追う「新潟県警」の刑事部捜査一課の刑事・柴田俊哉役に生瀬勝久さんといったキャラクターがこの奇妙な世界の成り立ちに拍車をかけています。
リリーさんといえば、優しい人物から極悪人まで演じることでも知られていますが、今作ではいまのところ穏やかな住職役として登場。ですが、つい「その裏があるんじゃないか?」と勘繰ってしまうほどの見せ方をする演技者なので、これからの動きに注目したいところ。
生瀬さんもその演技力が知られている実力派ですが、今作のような奇妙なテイストのドラマというと、ちょっと『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)の矢部謙三役を彷彿させる感触もあり(スピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』シリーズも面白かったですよね)、いつも生瀬さんの刑事役はハマっていて惹きつけられます(秋元作品だと『あなたの番です』の早期退職した元エリート銀行員役も良かった)。
そんな“漂着者ワールド”のなかで、画面にフレッシュな風を吹かせているのが、ヘミングウェイの謎を追う、白石麻衣さん演じる新聞記者・新谷詠美。あらためてその美貌や、乃木坂46卒業後初の連ドラ出演ということでも話題を呼んでいます。
劇中では、ヘミングウェイから「新谷さん、下の名前で呼んでもいいですか?」と突然言われる詠美。「どうして?」と怪訝になりながらも、「そのうちそう呼ぶようになる気がするから……詠美、君が見つけてほしい。わたしが手のひらに隠したタネと記憶」と押し切られる場面も。
いやいやいや、いくらイケメンでも、よくわからない男に突然名前で呼ばれるのは「ないでしょ」と思わずツッコミたくなりましたが、以降すっかりヘミングウェイから「詠美」呼ばわりされても全然平気な詠美。記者魂で取材のために近づきたいから渡りに船という描写もなく、おいおいふたりが恋に落ちる(!?)伏線なのか、それともさらに驚く展開がこれから待っているのか?
そんな気になるところばかりの『漂着者』ですが、次回、第3話は8月13日の放送(13日は午後11:45からの放送。※一部地域を除く)。ヘミングウェイの担当医・国原栄一(船越英一郎)の遺体が発見されますが、不可解なことに彼も入院中に不審死を遂げた大学教授・後宮徳次郎(越村公一)同様、胸の前で腕をクロスさせていたうえ、目・口・耳を糸で縫われた姿に。
NPO法人「しあわせの鐘の家」の施設を訪れた新聞記者・新谷詠美は、電話で国原死亡の知らせを受ける。すると、驚くことにヘミングウェイはすでにそのことを知っていて……これはもう、どうなっていくのか!? 次回も見逃せません!
金曜ナイトドラマ『漂着者』
https://www.tv-asahi.co.jp/hyouchakusha/
かわむらあみりのテレビウォッチング
https://suits-woman.jp/column/tv/
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