コラム香取慎吾の高い演技力は健在!『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』で見せる暗部とは?

こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits womanでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。

今回は、『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系 毎週月曜 午後10時)をご紹介します。

香取慎吾の振り幅の大きい高い演技力を味わう

主人公・万丞渉(香取慎吾)は“アノニマス”を見つけ出せるのか。 ©「アノニマス」製作委員会

現在放送中の香取慎吾さん主演の連続ドラマ『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』は、SNSでの誹謗中傷をテーマにした、オリジナル脚本によるクライムサスペンスです。

香取さんは、2016年放送の『ストレンジャー〜バケモノが事件を暴く〜』(テレビ朝日系)以来、民放ドラマ出演は5年ぶり、テレビ東京のドラマ出演となると1988年放送の『あぶない少年Ⅲ』以来、なんと33年ぶり。初回放送は、テレビ東京の月曜夜10時開始のドラマとしては視聴率最高記録を更新し、ツイッターでは「アノニマス」がトレンド1位になるなど、注目度の高さがうかがえました。

香取さんといえば、元SMAPのメンバーでもあり、2017年9月からは稲垣吾郎さん、草彅剛さんとともに、プロジェクト「新しい地図」としての活動をスタートさせました。今回のドラマのテーマとなっているSNSにおいても、「新しい地図」始動時より、ツイッターやインスタグラム、ユーチューブほか、さまざまなSNSを活用してわたしたちを楽しませてくれていますよね。

ドラマタイトルにもなっている“アノニマス”とは、日本語で“匿名”を意味する言葉だそうで、日本はネット上の匿名比率が7割にもなり、他国に比べて顕著に高い匿名大国なんだとか(平成26年版情報通信白書より)。また、“指殺人(ゆびさつじん)”とは、インターネットでの誹謗中傷や炎上などを起こすこと、キーボードによって人を追い込む=殺人=指殺人ということ。この指殺人が社会問題となり、対応するため警視庁に新設された通称「指対(ゆびたい)」こと“指殺人対策室”で、顔の見えない犯罪者=アノニマスを捜査し見つけ出すというストーリーです。

便利なSNSが、時に人を追い込む凶器になる……そう考えると、あまりにも気軽な存在となっているSNSですが、ネットリテラシーを高く持って、節度のある付き合い方をするのが一番だと感じます。

香取さんが『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』で演じるのは、主人公の万丞渉(ばんじょうわたる)。ある事件をきっかけに捜査一課の第一線から外された一匹狼ながらも、クセの強いメンバーとともに、指殺人に苦しむ人々の事件を解決に導いていくのですが、なんともクールでシニカル!

何か重い過去を背負っている空気感満々の物静かな万丞には、 “元気で明るい慎吾ちゃん”の面影はまったくナシ。実年齢は43歳の香取さんは、なぜかいくつになっても“慎吾ちゃん”と呼びたくなるポジティブオーラがありますが、ドラマでは正反対に、暗〜い影のある印象に。

2020年のAmazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』(Amazonプライム・ビデオで独占配信中)では、突き抜けたシチュエーション・コメディでコミカルな芝居を見せてくれた香取さん。コメディからシリアスまで、振り幅の大きい高い演技力で、今回も視聴者を引き込んでいるのです。

そんな香取さんを取り巻く「指対」メンバー、そして登場する人物たちはなにやら個性的なメンバーばかり。続いては、ほかの登場人物もみていきましょう!

クールで重々しい空気を背負う万丞役は、香取さんの新しい一面。 ©「アノニマス」製作委員会

主役に縁のある人物から若手注目株までがそろう

ヒロイン・碓氷咲良(関水渚)は、万丞の相棒役を遂行できるか。 ©「アノニマス」製作委員会

香取慎吾さん主演のクライムサスペンス『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』は、万丞渉(香取)を取り巻く人たちも興味深いところ。出世コースから外れた、クセモノだらけの「指対」メンバーは、4人います。

まず、万丞の相棒で同ドラマのヒロイン・碓氷咲良(うすいさくら)役には、同局のドラマ初出演となる、関水渚さん。2019年公開の映画『町田くんの世界』で1000人を越えるオーディションの中からヒロインに抜擢されて初主演として女優デビューし、各新人賞を総なめにした関水さん。劇中では、交通安全課から「指対」に異動したばかりで、捜査に前のめりで相談者に感情移入しがちだという役柄。実際のフレッシュさとあいまって、みずみずしさを届けてくれます。はじめは万丞に反発しながらも、次第に慕うようになっていくのかどうなのか……気になる。

続いて、SNSでの“特定”が得意な菅沼凛々子(すがぬまりりこ)役には、バラエティからドラマまで多彩な活躍を見せる、MEGUMIさん。仕事ができる勝気な既婚女性の役を演じていますが、2020年放送の『伝説のお母さん』(NHK総合)でも、サバサバした性格で強気なバツイチ子持ちの役を演じていましたし、『極主夫道』(日本テレビ系)でもスパルタな婦人会会長役でした。最近は強いママのイメージのあるMEGUMIさんですが、今回のドラマではどんな立ち回りを見せてくれるのか、ワクワク。

インターネット知識に長けた優秀な巡査長である、デジタル担当の四宮純一(しのみやじゅんいち)役には、出演映画が続々と公開の若手実力派俳優、清水尋也さん。その独特な佇まいとイケメンぶりに、ハートを鷲掴みにされている女性ファンも多々続出しているようです。今作は、地上波でのテレビ放送以外に動画配信サービスParaviでも配信されていますが、本編終了後、清水さん演じる四宮が主人公の『アノニマチュ!〜恋の指相撲対策室〜』も配信あり。初回配信には、お笑い芸人のAMEMIYAさんが出ていますよ。

そして、万丞の上司となる室長・越谷真二郎(こしがやしんじろう)役には、名バイプレイヤーとして数々の人気作品に出演している、勝村政信さん。同局で放送中のサッカー番組「FOOT×BRAIN」(毎週土曜 深夜0時20分)のMCとしてもおなじみの勝村さんは、ジャンルレスでさまざまな番組やドラマで活躍されていますよね。

ドラマ公式サイトで勝村さんは、『昔SMAP×SMAPで 共演した時に上から泥の中に落ちるコントがあって、香取くんと二人きりになった時に香取くんから小声で「落として!落として!」っていわれて香取くんが泥んこになったことを思い出しました(笑)』とコメントしていますが、なじみのある勝村さんが、今回、香取さん演じる万丞に振り回される越谷役というのも面白いですよね。

そんな勝村さんのほか、初回放送では香取さんになじみのある、松平健さんやキャイ〜ンさん、山本耕史さんが登場していました。香取さんからのオファーを受けて出演した山本さん演じる羽鳥賢三は、何かと万丞につっかかる捜査一課の刑事。今後どんな展開が繰り広げられるのか、期待が募ります。

そして2月1日放送の第2話では、親友を死に追いやった犯人について『裏K察』に名前を書き込んだ投稿者の“アノニマス”が、警察内部の人間かもと、万丞ら指殺人対策室に疑念が渦巻く。そんななか、新たに芹沢亜里沙(深川麻衣)が相談に訪れる。ネットで炎上中の店員を土下座させる動画の女性が、亜里沙だというデマが拡散しいているのだという。顔写真や勤務先も晒され、世の中からひどい誹謗中傷を受けているというが……。続きは、次回放送をチェックしましょう!

捜査一課の羽鳥賢三(山本耕史)は万丞と対立するが……。  ©「アノニマス」製作委員会

『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』
https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/